ものもらいが疑われる場合、医療機関(主に眼科)ではどのような流れで診断が行われ、どのような検査が必要になるのでしょうか。そのプロセスを理解しておくと、安心して受診できるでしょう。まず、医療機関を受診すると、医師による詳しい問診が行われます。いつから、まぶたのどの部分(上まぶた、下まぶた、目頭側、目尻側など)に、どのような症状(赤み、腫れ、痛み、かゆみ、しこり、目やに、涙目、異物感など)があるのか、症状の程度や経過、過去に同様の症状があったか(再発かどうか)、その時の治療内容と効果、コンタクトレンズの使用状況、アイメイクの習慣、アレルギー歴、既往歴、服用中の薬などを詳しく聞かれます。この問診は、ものもらいの種類(麦粒腫か霰粒腫か)や重症度を判断する上で非常に重要な情報となります。次に、視診と触診です。医師は、まぶたの状態(腫れの範囲や硬さ、赤みの程度、膿点の有無、しこりの可動性など)を注意深く観察し、触って圧痛(押したときの痛み)の有無などを確認します。まつ毛の生え際やマイボーム腺の開口部の状態もチェックします。そして、眼科特有の検査として、「細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)検査」が行われます。これは、スリットランプとも呼ばれる特殊な顕微鏡で、まぶたの縁や結膜、角膜といった目の表面を拡大して詳細に観察する検査です。ものもらいの炎症の程度や、膿のたまり具合、あるいは他の目の病気がないかなどを確認することができます。多くの場合、この問診、視診・触診、そして細隙灯顕微鏡検査によって、ものもらいの診断が下されます。特別な血液検査や画像検査は、通常は必要ありません。ただし、症状が非典型的であったり、何度も繰り返したり、あるいは悪性の腫瘍が疑われたりするような稀なケースでは、細菌培養検査(膿などを採取して原因菌を調べる)や、画像検査(CTやMRIなど)、あるいは組織の一部を採取して調べる生検などが行われることもあります。これらの問診、診察、検査結果を総合的に判断し、医師はものもらいの診断を下し、適切な治療方針を決定します。