唇の両端(口角)が赤く腫れたり、切れたり、かさぶたができたりして、口を開けると痛む…。これは「口角炎」の典型的な症状です。食事や会話のたびに痛みが走るため、日常生活にも支障をきたすことがあるつらい症状です。では、この口角炎が疑われる場合、まずどの診療科を受診すれば良いのでしょうか。最初に相談すべき診療科としては、皮膚科が挙げられます。皮膚科医は、皮膚や粘膜の病気全般を専門としており、口角炎の原因を特定し、適切な治療を行う上で中心的な役割を担います。問診(いつから、どのような症状があるか、食生活、アレルギー歴、既往歴など)や視診(患部の状態、赤み、亀裂、びらん、かさぶたの有無など)を行い、口角炎であるかどうか、またその原因(例えば、カンジダなどの真菌感染、細菌感染、ビタミン不足、乾燥、アレルギーなど)を推測します。必要に応じて、皮膚の一部を採取して検査(真菌検査や細菌培養検査など)を行うこともあります。治療としては、原因に応じた塗り薬(抗真菌薬、抗菌薬、ステロイド軟膏、保湿剤など)や、内服薬(ビタミン剤など)が処方されます。また、歯科や口腔外科も選択肢の一つです。特に、口角炎の原因が、唾液による刺激や、歯並び、噛み合わせ、あるいは義歯(入れ歯)の不適合など、口腔内の環境と関連していると考えられる場合には、歯科や口腔外科での診察が有効です。口腔内の清掃指導や、義歯の調整などを行ってくれることがあります。内科やかかりつけ医も、口角炎の初期対応を行ってくれることがあります。特に、口角炎が全身的な疾患(例えば、糖尿病や鉄欠乏性貧血、免疫不全など)の一症状として現れている可能性も考慮し、必要であれば血液検査などを行い、適切な専門科へ紹介してくれます。自己判断で市販薬を使い続けたりせず、症状が長引く場合や、繰り返す場合は、早めに専門医の診察を受けるようにしましょう。