クーラー病(エアコン病)によると思われる発熱が、なかなか改善せずに長引いてしまう場合、不安を感じる方も多いでしょう。単なるクーラー病の症状が続いているだけなのか、それとも別の原因が隠れているのか、注意が必要です。クーラー病による発熱が長引く場合に考えられることと、その際の受診科について解説します。まず、考えられる可能性の一つとして、二次的な感染症の併発があります。クーラーによる体の冷えや自律神経の乱れで免疫力が低下していると、ウイルスや細菌に感染しやすくなり、急性咽頭炎や扁桃炎、気管支炎、あるいは肺炎といった呼吸器感染症や、尿路感染症などを引き起こし、発熱が長引く原因となることがあります。この場合は、原因となっている感染症に対する適切な治療(例えば、細菌感染であれば抗菌薬の投与など)が必要となるため、内科や呼吸器内科、あるいは耳鼻咽喉科などの受診が検討されます。次に、クーラーのフィルター汚れが原因で、「夏型過敏性肺炎」を発症している可能性も考慮しなければなりません。これは、クーラー内部で繁殖したカビ(トリコスポロンなど)を吸い込むことによって起こるアレルギー性の肺炎で、乾いた咳、息切れ、発熱といった症状が特徴です。クーラーを使用している時に症状が悪化し、使用を止めると改善する傾向があれば、この病気を疑います。診断には胸部X線検査や血液検査などが必要で、治療としては原因となるカビの除去と、場合によってはステロイド剤の使用が行われます。呼吸器内科が専門となります。その他にも、発熱が長引く原因として、膠原病や悪性腫瘍といった、より専門的な検査と治療が必要な疾患が隠れている可能性もゼロではありません。特に、原因不明の発熱が数週間以上続く場合や、体重減少、リンパ節の腫れ、寝汗といった他の全身症状を伴う場合は、総合内科や専門の診療科(例えば、リウマチ科や血液内科、腫瘍内科など)での精密な検査が必要です。自己判断で様子を見続けるのではなく、症状が長引く場合は必ず医師に相談しましょう。