女性が経験するめまいの中には、耳鼻咽喉科的な内耳の問題だけでなく、貧血や起立性低血圧といった内科系の疾患が原因となっているケースも少なくありません。これらの場合は、内科やかかりつけ医での診断と治療が中心となります。まず、「貧血(特に鉄欠乏性貧血)」は、女性に非常に多く見られる状態で、めまいの一般的な原因の一つです。月経による定期的な出血や、妊娠・出産、授乳、あるいは無理なダイエットなどによって、体内の鉄分が不足すると、血液中の酸素を運ぶヘモグロビンが減少し、脳への酸素供給が不十分になります。その結果、フワフワとしたり、クラっとしたりするような浮動性のめまいや立ちくらみ、息切れ、動悸、顔面蒼白、全身倦怠感、頭痛といった症状が現れます。血液検査でヘモグロビン値や血清鉄、フェリチン(貯蔵鉄)などを測定することで診断がつきます。治療は、鉄剤の経口投与や注射、そして食事療法(鉄分の多い食品の摂取)が基本となります。次に、「起立性低血圧」も、特に若い女性や高齢者に見られやすいめまいの原因です。これは、急に立ち上がった時や、長時間立っている時などに、脳への血流が一時的に低下し、血圧が下がることで、立ちくらみやめまい、目の前が暗くなる感じ、失神といった症状が現れる状態です。自律神経の調節機能の異常や、脱水、薬剤の副作用などが原因となることがあります。診断は、臥位(横になった状態)と立位(立った状態)での血圧測定や、起立試験などで行われます。治療としては、生活習慣の改善(ゆっくりと立ち上がる、弾性ストッキングの着用、水分・塩分摂取の調整など)や、場合によっては昇圧剤などの薬物療法が行われます。その他、低血糖(血糖値が下がりすぎる状態)や、甲状腺機能異常症(亢進症または低下症)、あるいは心臓の病気(不整脈や心不全など)なども、めまいを引き起こす可能性があります。これらの場合は、それぞれの原因疾患に対する専門的な治療が必要となります。めまいの症状とともに、他の全身症状(例えば、動悸、体重変化、手の震え、むくみなど)がある場合は、内科を受診し、原因を特定してもらうことが大切です。