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口角炎とヘルペスの違い見分け方と診療科
唇の端やその周りにできる炎症や水ぶくれは、口角炎と口唇ヘルペス、どちらの可能性も考えられます。両者は原因も治療法も異なるため、正しく見分けることが大切です。それぞれの特徴と、受診すべき診療科について理解しておきましょう。まず、口角炎は、唇の両端(口角)に炎症が起こり、赤み、腫れ、亀裂、びらん、かさぶたなどができる病気です。主な原因は、ビタミンB群の不足、鉄欠乏、カンジダなどの真菌感染、細菌感染、乾燥、物理的な刺激、アレルギーなど多岐にわたります。症状としては、口を開けると痛んだり、食べ物がしみたりすることがあります。通常、水疱(水ぶくれ)ができることは稀です(ただし、細菌感染で膿疱ができることはあります)。一方、口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の感染によって起こる病気です。唇やその周囲に、まずピリピリとしたり、チクチクとしたり、ムズムズとしたりするような違和感やかゆみが現れ、その後、その部分に小さな水疱がいくつか集まってできます(集簇性小水疱)。水疱は、次第に破れてびらん(ただれ)になり、かさぶたとなって治癒していきます。強い痛みを伴うことが多く、再発しやすいのが特徴です。見分けるポイントとしては、まず、水疱の有無です。口唇ヘルペスでは特徴的な小さな水疱ができますが、口角炎では通常できません。次に、症状が現れる前の前駆症状です。口唇ヘルペスでは、水疱ができる前にピリピリとした違和感やかゆみを感じることが多いですが、口角炎ではそのような前駆症状はあまり見られません。また、再発のしやすさも異なります。口唇ヘルペスは、一度感染するとウイルスが体内に潜伏し、免疫力が低下した時などに再発を繰り返しやすいのに対し、口角炎は原因が除去されれば治癒し、必ずしも再発するわけではありません(ただし、原因が改善されなければ繰り返します)。受診すべき診療科ですが、口角炎も口唇ヘルペスも、まずは皮膚科を受診するのが一般的です。皮膚科医は、これらの疾患の鑑別診断と治療を専門としています。口角炎の原因が口腔内の問題(例えば、唾液や義歯など)と関連している場合は、歯科や口腔外科との連携が必要になることもあります。