喘息発作が起きて息苦しい時、パニックにならずに呼吸を整えることは、症状の悪化を防ぎ、苦痛を和らげる上で非常に大切です。いくつかの呼吸法を知っておくと、いざという時に役立ちます。代表的なものに「口すぼめ呼吸」と「腹式呼吸」があります。まず、「口すぼめ呼吸」は、息を吐く時に気道が虚脱(つぶれる)のを防ぎ、呼吸を楽にする効果があります。やり方は、まず鼻からゆっくりと自然に息を吸い込みます。次に、口を軽くすぼめて(ろうそくの火をゆっくりと吹き消すようなイメージで、あるいはストローで息を吐くような感じで)、吸う時の倍くらいの時間をかけて、ゆっくりと長く息を吐き出します。この時、お腹を少しへこませるように意識すると、より効果的に息を吐き出すことができます。焦らず、自分のペースで、数回繰り返しましょう。次に、「腹式呼吸」も、呼吸を深くし、リラックス効果を高めるのに役立ちます。まず、楽な姿勢で座るか、仰向けに寝ます。片手をお腹に、もう片方の手を胸に当てます。そして、鼻からゆっくりと息を吸い込みながら、お腹が膨らんでいくのを感じます(胸はあまり動かさないように意識します)。次に、口からゆっくりと息を吐き出しながら、お腹がへこんでいくのを感じます。これも、吐く時間を吸う時間より長くするのがポイントです。腹式呼吸は、横隔膜を効果的に使うことで、肺に空気をたくさん取り込み、また、副交感神経を優位にして心身をリラックスさせる効果も期待できます。これらの呼吸法は、喘息発作時だけでなく、普段から練習しておくと、いざという時にスムーズに行うことができます。ただし、これらの呼吸法は、あくまで発作治療薬(吸入薬など)による治療を補完するものであり、これだけで発作が治まるわけではありません。必ず医師から指示された発作治療薬を適切に使用し、症状が改善しない場合は速やかに医療機関を受診することが最も重要です。
喘息発作時の呼吸法、口すぼめ呼吸と腹式呼吸