RSウイルス感染症と診断されたけれど、症状が比較的軽く、入院の必要はないと判断された場合、自宅で療養することになります。しかし、RSウイルスは特に乳幼児にとっては重症化する可能性もあるため、自宅でのケアにもいくつかの重要な注意点があります。まず、最も大切なのは、子どもの呼吸状態を注意深く観察することです。ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)が悪化していないか、呼吸が速くなっていないか、息を吸う時に胸やお腹がペコペコとへこむ陥没呼吸が見られないか、顔色や唇の色が悪くないか(チアノーゼ)などをこまめにチェックしましょう。もし、これらの呼吸困難のサインが見られたら、速やかに医療機関を再受診する必要があります。次に、水分補給を十分に行うことです。発熱や咳、鼻水などによって、体内の水分が失われやすくなります。湯冷ましや麦茶、子ども用のイオン飲料、経口補水液などを少量ずつ、頻繁に与え、脱水症状を防ぎましょう。母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんの場合は、いつも通りに授乳を続けて問題ありませんが、一度にたくさん飲ませるとむせたり吐いたりすることがあるため、少量ずつ回数を多くして与えるなどの工夫が必要です。食事については、食欲がない場合は無理強いせず、消化が良く、喉越しの良いもの(おかゆ、うどん、スープ、ゼリーなど)を、本人の欲しがる時に与えるようにしましょう。室内の環境も重要です。空気が乾燥していると、咳が悪化したり、鼻の粘膜が乾燥して鼻詰まりがひどくなったりすることがあります。加湿器などを使って、適切な湿度(50~60%程度)を保つように心がけましょう。また、室内の換気を定期的に行い、空気を清潔に保つことも大切です。タバコの煙は、気道を刺激し、症状を悪化させるため、絶対に避けましょう。受動喫煙にも注意が必要です。そして、安静と休養を十分に取らせることも、体力の回復には不可欠です。無理に遊ばせたりせず、静かに過ごせる環境を整えてあげましょう。咳や鼻水で眠りにくいようであれば、上半身を少し高くして寝かせると、呼吸が楽になることがあります。これらの点に注意しながら、医師の指示に従い、処方された薬があればきちんと服用させましょう。そして、少しでも状態が悪化したり、心配なことがあれば、遠慮せずに医療機関に相談することが大切です。
RSウイルスと診断されたら自宅療養の注意点