ヘルパンギーナは、エンテロウイルス属のウイルス(主にコクサッキーウイルスA群など)に感染することで発症します。主に唾液を介して感染が広がるため、感染力が比較的強い病気の一つです。では、なぜ大人がヘルパンギーナにかかるのでしょうか。その原因と感染経路について理解しておきましょう。大人がヘルパンギーナにかかる主な原因は、過去にその型のエンテロウイルスに感染したことがなく、免疫を持っていない場合です。ヘルパンギーナの原因となるウイルスの型は複数存在するため、子どもの頃に一度かかったことがあるとしても、異なる型のウイルスに感染すれば、大人になってから再び発症する可能性があります。特に、子育て中の方や、保育・教育関係者、医療従事者など、子どもと接する機会の多い大人は、感染のリスクが高いと言えるでしょう。ヘルパンギーナの主な感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」、そして「糞口感染」です。飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散る小さな飛沫(しぶき)に含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。接触感染は、ウイルスが付着した手で目や鼻、口を触ったり、あるいはウイルスが付着したドアノブや手すり、おもちゃ、タオル、食器などを介して感染します。糞口感染は、感染者の便の中に排出されたウイルスが、何らかの形で口から入ることで感染します。おむつ交換の後やトイレの後の手洗いが不十分だと、この経路で感染が広がりやすくなります。ヘルパンギーナのウイルスは、症状が現れる数日前から、症状が治まった後も数週間にわたって、喉や便の中に排出されると言われています。そのため、症状が出ていない潜伏期間中の人や、症状が軽くて気づいていない人からも、知らず知らずのうちに感染を広げてしまう可能性があります。これらの感染経路を理解し、流行期には手洗いやうがい、マスクの着用といった基本的な感染予防策を徹底することが、大人もヘルパンギーナから身を守るためには重要となります。
大人がヘルパンギーナになる原因と感染経路