足の付け根に膨らみを感じると、すぐに「脱腸」ではないかと心配になるかもしれません。しかし、鼠径部の膨らみやしこりには、脱腸(ヘルニア)以外にも様々な原因が考えられます。自己判断で決めつけずに、専門医の診察を受けることが非常に重要です。例えば、リンパ節の腫れは、風邪や感染症などによって鼠径部のリンパ節が炎症を起こし、しこりのように触れることがあります。触れると痛みがあったり、発熱を伴ったりすることもあります。また、脂肪腫という良性の腫瘍が、鼠径部にできることもあります。これは脂肪の塊で、通常は柔らかく、痛みはありませんが、時間とともに大きくなることがあります。さらに、男性の場合、精索静脈瘤や水腫といった陰嚢内の疾患が、鼠径部の違和感や膨らみとして感じられることもあります。精索静脈瘤は、陰嚢内の静脈が拡張した状態で、触るとミミズのような感触があります。水腫は、陰嚢内に水が溜まることで腫れが生じる状態です。これらの疾患は、それぞれ治療法が異なります。例えば、リンパ節の腫れであれば、原因となる感染症の治療を行えば自然に治まることが多いですし、脂肪腫や水腫であれば、症状によっては経過観察や手術が選択されます。ヘルニアと間違えやすい疾患は多岐にわたるため、もし鼠径部に異常を感じた場合は、まずは外科や泌尿器科を受診し、正確な診断を受けることが何よりも大切です。専門医の目でしっかりと診てもらい、適切な治療へとつなげましょう。