「最近、なんだか疲れやすい」「やる気が出ない」「イライラしやすくなった」「性欲が減退した気がする」…。これらの症状は、もしかしたら「男性更年期障害(LOH症候群:加齢男性性腺機能低下症候群)」のサインかもしれません。男性更年期障害は、主に40代以降の男性に、男性ホルモン(テストステロン)の低下によって、身体的・精神的・性機能に関する様々な不調が現れる状態を指します。女性の更年期障害ほど広く認知されていませんが、悩んでいる男性は少なくありません。では、この男性更年期障害が疑われる場合、まずどの診療科を受診すれば良いのでしょうか。最初に相談すべき診療科としては、泌尿器科または内分泌内科が挙げられます。泌尿器科医は、男性ホルモンの分泌に関わる精巣や、前立腺といった男性生殖器系の病気を専門としており、男性更年期障害の診断と治療(特にホルモン補充療法など)において中心的な役割を担います。問診(症状の詳しい聞き取り、いつから、どのような症状があるか、他に症状はないか、既往歴、生活習慣など)や、必要に応じて血液検査(テストステロン値の測定など)、そして質問票(AMSスコアなど)を用いて、男性更年期障害であるかどうかを評価します。内分泌内科も、ホルモンや代謝に関わる病気を専門としており、テストステロンを含む様々なホルモンの異常に対応できます。特に、下垂体や視床下部といったホルモン中枢の異常が原因である可能性も考慮し、より専門的な内分泌学的検査を行うことがあります。また、精神科や心療内科も選択肢の一つです。男性更年期障害では、気分の落ち込みや不安感、不眠、集中力の低下といった精神症状が強く現れることがあるため、これらの症状に対する評価やケア、そしてうつ病などの他の精神疾患との鑑別診断において、精神科医や心療内科医の専門的な知識が役立ちます。かかりつけの内科医にまず相談し、症状に応じて適切な専門科を紹介してもらうという方法も良いでしょう。自己判断せずに、まずは専門医の診察を受けることが、適切な治療への第一歩となります。