原因がはっきりしない頭痛が続くと、不安になるものです。「いつものことだから」「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、症状が悪化したり、日常生活に大きな支障をきたしたりするだけでなく、背景に重大な病気が隠れている可能性を見逃してしまう危険性もあります。どのような場合に医療機関を受診すべきなのか、その目安を知っておきましょう。まず、頭痛の頻度が増えてきた、あるいは痛みの程度が徐々に強くなってきた場合は、注意が必要です。これまで市販の鎮痛薬で抑えられていた頭痛が、効かなくなってきた、あるいは薬を飲む回数が増えてきたというのも、受診を検討するサインです。次に、頭痛の性質が変化した場合です。例えば、いつもは締め付けられるような痛みだったのに、突然ズキンズキンとした拍動性の痛みに変わった、あるいはこれまでに経験したことのないような激しい頭痛が起きたといった場合は、他の原因を考える必要があります。また、頭痛以外の症状が現れた場合も、受診の目安となります。吐き気や嘔吐、光や音、匂いへの過敏、めまい、手足のしびれや麻痺、ろれつが回らない、物が二重に見える、発熱、意識障害、けいれんといった症状を伴う頭痛は、単なる一次性頭痛ではなく、二次性頭痛(他の病気が原因で起こる頭痛)の可能性があり、特に危険なサインです。50歳以降に初めて頭痛を経験した場合や、がんや免疫不全の既往がある人の頭痛も、慎重な評価が必要です。さらに、頭痛によって日常生活(仕事、学業、家事など)に支障が出ている、あるいは頭痛に対する不安感が強く、生活の質(QOL)が低下していると感じる場合も、我慢せずに医療機関に相談しましょう。受診する診療科としては、神経内科や頭痛外来、脳神経外科などが専門となります。自己判断せずに、早めに専門医の診察を受け、原因を特定し、適切な治療とアドバイスを受けることが、つらい頭痛から解放されるための第一歩です。