回転性の激しいめまいとともに、難聴、耳鳴り、耳の詰まった感じ(耳閉感)といった聴覚症状が繰り返し起こる場合、それは「メニエール病」の可能性があります。メニエール病は、内耳のリンパ液の圧力が異常に高まること(内リンパ水腫)が原因で起こると考えられており、30代から50代の女性に比較的多く見られる傾向があります。その発症や症状の悪化には、ストレスや疲労、睡眠不足、そして女性の場合はホルモンバランスの変動なども関与しているのではないかと言われています。メニエール病のめまい発作は、突然始まり、数十分から数時間、長い場合は半日以上続くことがあります。めまい発作中は、強い吐き気や嘔吐、冷や汗、顔面蒼白などを伴うことが多く、日常生活に大きな支JRをきたします。難聴は、初期には主に低い音が聞こえにくくなるのが特徴で、めまい発作と連動して聴力が良くなったり悪くなったりする「聴力変動」が見られます。発作を繰り返すうちに、徐々に難聴が進行し、高音域にも影響が及んだり、聴力が固定化してしまったりすることもあります。耳鳴りも、低い音(「ボー」「ゴー」といった音)が特徴的です。これらの症状は、通常、片側の耳に現れますが、両側に起こることもあります。メニエール病の発症メカニズムはまだ完全には解明されていませんが、内リンパ水腫がなぜ起こるのかについては、自律神経の乱れや、内耳の血流障害、免疫異常、アレルギー、遺伝的素因などが関与していると考えられています。特に、精神的なストレスや過労、睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、内耳の環境を不安定にさせることで、めまい発作の引き金となることが多いと言われています。また、女性の場合、月経周期や妊娠・出産、更年期といったホルモンバランスが大きく変動する時期に、症状が現れたり、悪化したりすることがあるとも指摘されています。メニエール病が疑われる場合は、耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査や平衡機能検査などの専門的な検査を受け、正確な診断と適切な治療(薬物療法や生活指導など)を受けることが重要です。