唇の両端が切れて痛む口角炎の原因は一つではなく、様々な要因が関わっている可能性があります。代表的な原因を理解し、適切な対処や予防に繋げましょう。まず、最もよく知られている原因の一つが、「ビタミンB群の不足」です。特に、ビタミンB2(リボフラビン)やビタミンB6(ピリドキシン)、ナイアシンといったビタミンB群は、皮膚や粘膜の健康維持に不可欠な栄養素です。これらが不足すると、皮膚や粘膜の抵抗力が弱まり、口角に炎症が起こりやすくなります。偏った食生活や無理なダイエット、あるいは胃腸の吸収不良などが、ビタミンB群不足の原因となります。次に、「鉄欠乏性貧血」も口角炎を引き起こすことがあります。鉄分は、皮膚や粘膜の細胞の新陳代謝にも関わっており、不足すると口角炎や舌炎(舌の炎症)などが現れやすくなります。特に月経のある女性や、妊娠・授乳期の女性は注意が必要です。また、「カンジダなどの真菌(カビ)感染」も、口角炎の重要な原因です。カンジダは、健康な人の口の中や皮膚にも存在する常在菌ですが、免疫力が低下したり、口腔内が不衛生になったり、あるいは抗生物質を長期間服用したりすると、異常に増殖し、口角に炎症(カンジダ性口角炎)を引き起こすことがあります。白い苔のようなものが付着したり、赤くただれたりするのが特徴です。「細菌感染」も、ささくれや乾燥による亀裂など、口角の小さな傷から黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入し、炎症や化膿を起こすことがあります。その他、「乾燥」も口角炎の大きな誘因です。空気が乾燥する季節や、唇を舐める癖、口呼吸などによって口角が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下し、亀裂が生じやすくなります。「物理的な刺激」も原因となり得ます。例えば、大きく口を開けすぎたり、歯ブラシや歯科治療器具、あるいは不適合な義歯(入れ歯)などが口角に当たって傷つけたりすることです。「アレルギー反応」として、特定の化粧品や食べ物、歯磨き粉などが原因で、口角に炎症が起こることもあります(接触皮膚炎)。さらに、ストレスや疲労、睡眠不足などによる免疫力の低下も、口角炎を発症しやすくする背景要因となります。
口角炎の主な原因ビタミン不足から感染症まで