子どもの発熱と喉の痛み、そして口の中に何かできものが…そんな時、溶連菌感染症(A群β溶血性連鎖球菌感染症)の可能性も考える必要があります。溶連菌感染症は、主に喉の炎症(扁桃炎や咽頭炎)を引き起こす細菌感染症ですが、口内炎のような症状や、特徴的な舌の変化が現れることがあります。溶連菌感染症の主な症状は、突然の高熱(三十八度以上のことが多い)と、強い喉の痛みです。喉の奥を見ると、扁桃腺が赤く腫れ上がり、白い膿(白苔)が付着していたり、喉の粘膜に赤い点状の出血斑が見られたりします。そして、口腔内の特徴的な所見として「イチゴ舌」があります。これは、舌の表面がイチゴのように赤くブツブツとした状態になるもので、溶連菌感染症に比較的特有のサインとされています。このイチゴ舌の状態は、広い意味では舌炎の一種であり、口内炎のようにヒリヒリとしたり、食べ物がしみたりすることもあります。また、溶連菌感染症では、口唇や口の周りの皮膚が乾燥してカサカサしたり、ひび割れたりすることもあります。さらに、猩紅熱様発疹(しょうこうねつようほっしん)という、体に細かい赤い点状の発疹が広がることもあります。この発疹は、顔にも出ることがあり、口の周りだけが白く抜けて見える「口囲蒼白(こういそうはく)」が特徴的とされることもあります。溶連菌感染症の診断は、喉の診察所見に加え、喉の奥を綿棒でこすって行う迅速診断キットによる検査が一般的です。この検査で陽性となれば、溶連菌感染症と診断され、抗菌薬(抗生物質、主にペニシリン系)の内服治療が開始されます。処方された抗菌薬は、症状が改善した後も必ず指示された期間、最後まで飲み切ることが非常に重要です。治療を怠ると、リウマチ熱や急性糸球体腎炎といった重大な合併症を引き起こす可能性があるためです。もし、高熱や強い喉の痛みとともに、舌がイチゴのようになっていたり、口の中に何か異常を感じたりした場合は、溶連菌感染症の可能性も考え、速やかに小JPanel科を受診するようにしましょう。