原因不明の頭痛で医療機関を受診した場合、どのような流れで診断が行われ、どのような検査が必要になるのでしょうか。そのプロセスを理解しておくと、安心して受診できるでしょう。まず、医療機関(主に神経内科、頭痛外来、脳神経外科など)を受診すると、医師による非常に詳しい問診が行われます。これが頭痛の診断において最も重要なステップとなります。医師は、以下の点について詳細に聞き取ります。いつから頭痛があるのか。どのような痛みか(ズキンズキン、締め付けられる、ガンガンするなど)。痛む場所(片側か両側か、こめかみ、後頭部、前頭部など)。痛みの強さ(日常生活への支障度)。痛みの頻度や持続時間。頭痛の前兆(閃輝暗点などの視覚異常や感覚異常など)の有無。頭痛以外の随伴症状(吐き気、嘔吐、光や音、匂いへの過敏、めまい、肩こりなど)の有無。頭痛の誘因(ストレス、睡眠不足、特定の飲食物、天候の変化、月経周期など)。これまでの頭痛の既往歴や家族歴、服用している薬、生活習慣など。次に、神経学的診察が行われます。意識状態、眼球運動、瞳孔の異常、顔面の感覚や運動、手足の筋力や感覚、反射などを調べ、脳や神経に異常がないかを確認します。これらの問診と診察から、医師はある程度の頭痛のタイプ(例えば、偏頭痛や緊張型頭痛など)を推測しますが、最も重要なのは、二次性頭痛(他の病気が原因で起こる頭痛)の中でも、特に危険な疾患(くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎など)を見逃さないことです。そのため、以下のような「危険な頭痛のサイン(レッドフラッグサイン)」がある場合には、精密な検査が速やかに行われます。突然発症の激しい頭痛。これまでに経験したことのない最悪の頭痛。徐々に悪化していく頭痛。発熱、意識障害、けいれん、麻痺などの神経症状を伴う頭痛。50歳以降に初めて出現した頭痛。がんや免疫不全の既往がある人の頭痛。これらのサインがある場合や、診断に迷う場合には、頭部CT検査や頭部MRI検査といった画像検査が行われます。これにより、脳内の出血や梗塞、腫瘍、炎症などの有無を確認します。髄膜炎などが疑われる場合は、腰椎穿刺(髄液検査)が行われることもあります。これらの検査で明らかな器質的な異常が見つからず、国際頭痛分類の診断基準に基づいて、一次性頭痛(偏頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など)と診断されることが多いです。