喘息の治療において、日々の自分の気道の状態を客観的に把握し、自己管理することは非常に重要です。そのために役立つツールの一つが、「ピークフローメーター」です。ピークフローメーターとは、思い切り息を吐き出した時の息の速さ(最大呼気流量:ピークフロー値)を簡単に測定できる小型の器具です。このピークフロー値を毎日測定し、記録することで、喘息の状態の変化を早期に捉え、発作の予防や悪化の防止に繋げることができます。ピークフロー値は、その日の体調や気道の炎症の程度によって変動します。喘息の状態が良い時はピークフロー値が高く、気道が狭くなっていたり、炎症が強くなっていたりすると、ピークフロー値は低下します。そのため、毎日同じ時間帯(例えば、朝起きた時と夜寝る前など、吸入薬を使用する前が良いとされています)に測定し、その値を記録することで、自分の平常時のピークフロー値(自己最良値)を知ることができます。そして、その自己最良値と比較して、現在のピークフロー値がどの程度低下しているかによって、喘息の状態を客観的に評価し、医師から指示された対応(例えば、発作治療薬の追加吸入や、長期管理薬の増量、医療機関の受診など)を適切に行うことができるのです。一般的に、ピークフロー値が自己最良値の80%以上であれば「良好(グリーンゾーン)」、50~80%であれば「注意(イエローゾーン)」、50%未満であれば「危険(レッドゾーン)」といったように、信号機の色に例えて管理する方法(ピークフローモニタリング)が用いられます。イエローゾーンやレッドゾーンに入った場合は、速やかに医師の指示に従った対処が必要です。ピークフローメーターの正しい使い方(しっかりと息を吸い込み、マウスピースをしっかりくわえ、勢いよく一気に息を吐き出すなど)については、医師や看護師、薬剤師から指導を受けることが大切です。また、測定値だけでなく、その時の症状や、発作治療薬の使用回数なども一緒に記録しておくと(喘息日記)、より詳細な情報となり、医師とのコミュニケーションにも役立ちます。