メニエール病の治療は、医療機関での薬物療法などが中心となりますが、それと並行して、日常生活でいくつかの点に注意することで、症状のコントロールを助け、発作の予防やQOL(生活の質)の向上に繋げることができます。まず、最も大切なのは、ストレスを溜め込まず、心身ともにリラックスできる環境を整えることです。過度な精神的・肉体的ストレスは、メニエール病の発作の大きな誘因となります。十分な睡眠時間を確保し、質の高い睡眠をとるように心がけましょう。毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい生活リズムを保つことも、自律神経の安定には重要です。次に、食事療法です。塩分の摂りすぎは、体内に水分を溜め込みやすくし、内リンパ水腫を悪化させる可能性があるため、減塩を心がけましょう。加工食品や外食は塩分が多い傾向にあるため、できるだけ自炊にし、薄味を意識します。また、カフェインを多く含むコーヒーや紅茶、緑茶、あるいはアルコール飲料は、めまいや耳鳴りを誘発したり、悪化させたりすることがあるため、摂取を控えるか、適量に留めるのが望ましいでしょう。水分摂取については、脱水も内耳の循環に悪影響を与える可能性があるため、適度な水分補給は必要ですが、一度に大量に飲むのではなく、こまめに摂るようにしましょう。適度な運動も、血行を促進し、自律神経のバランスを整えるのに役立ちますが、めまい発作中は無理をせず、症状が落ち着いている時に、ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、体に負担の少ない運動から始めるのが良いでしょう。また、天候の変化(特に気圧の低下など)が、めまい発作の誘因となることがあるため、天気予報などを参考に、体調管理に気をつけることも大切です。そして、喫煙は、血管を収縮させ、内耳の血流を悪化させる可能性があるため、禁煙することが強く推奨されます。これらの日常生活での注意点を守り、医師の指示に従って治療を継続することが、メニエール病と上手に付き合っていくための鍵となります。
メニエール病、治療中の日常生活の注意点