手足口病は、夏場を中心に保育園や幼稚園などで集団発生しやすい感染症です。プールの季節と流行時期が重なることもあり、「プールで手足口病がうつるのではないか」と心配になる保護者の方もいるでしょう。手足口病の主な感染経路と、プール利用時の注意点について理解しておきましょう。手足口病の原因となるエンテロウイルスは、主に以下の三つの経路で感染します。①飛沫感染:感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散る小さな飛沫(しぶき)に含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。②接触感染:ウイルスが付着した手で目や鼻、口を触ったり、あるいはウイルスが付着したドアノブや手すり、おもちゃ、タオルなどを介して感染します。手足口病の水疱の内容物にもウイルスが含まれています。③糞口感染:感染者の便の中に排出されたウイルスが、何らかの形で口から入ることで感染します。おむつ交換の後やトイレの後の手洗いが不十分だと、この経路で感染が広がりやすくなります。では、プールで手足口病がうつる可能性はどうでしょうか。プールの水は、通常、塩素によって消毒されているため、水自体が主な感染源となるリスクは比較的低いと考えられています。しかし、完全にゼロとは言い切れません。特に、水温が高かったり、利用者が多かったりして、塩素濃度が低下している場合には、ウイルスが生存している可能性も否定できません。それ以上に注意が必要なのは、プールサイドや更衣室、シャワー室といった共有スペースでの接触感染や飛沫感染です。これらの場所では、感染者との距離が近くなったり、ウイルスが付着した場所に触れる機会が増えたりするため、感染リスクが高まります。また、タオルや水着、浮き輪などの共用も、接触感染の原因となり得ます。したがって、手足口病の流行期にプールを利用する際は、基本的な感染予防策(こまめな手洗い、タオルの共用を避けるなど)を徹底することが大切です。そして、手足口病の症状がある場合は、他の人にうつしてしまう可能性があるため、プールの利用は控えるのがマナーです。
手足口病プールでうつる?感染経路と注意点