胃のムカムカや不快感は、食べ過ぎや飲みすぎといった食事内容だけでなく、精神的なストレスが大きく関わっていることがあります。特に、検査をしても胃に明らかな異常が見つからないのに、ストレスを感じると胃の調子が悪くなるという方は、自律神経の乱れが原因かもしれません。私たちの胃腸の働きは、自律神経によってコントロールされています。自律神経には、活動時や緊張時に働く「交感神経」と、休息時やリラックス時に働く「副交感神経」の二種類があり、これらがバランスを取りながら胃酸の分泌や胃の蠕動運動(食べ物を消化・排出する動き)を調節しています。しかし、強いストレスや慢性的なストレス状態が続くと、この自律神経のバランスが崩れ、交感神経が過剰に働きやすくなります。交感神経が優位になると、胃の血管が収縮して血流が悪くなったり、胃の蠕動運動が抑制されたり、あるいは逆に胃酸の分泌が過剰になったりすることがあります。その結果、胃もたれや食欲不振、胃痛、そしてムカムカとした吐き気といった症状が現れやすくなるのです。また、ストレスは、胃の知覚過敏を引き起こすこともあります。通常では気にならない程度の胃の動きや胃酸の刺激に対しても、過敏に反応してしまい、不快感や痛みとして感じやすくなるのです。これを「機能性ディスペプシア」と呼ぶこともあり、ストレスが大きな発症要因の一つと考えられています。ストレスによる胃のムカムカを解消するためには、まず、ストレスの原因を特定し、可能な範囲でそれを軽減・回避することが大切です。そして、十分な睡眠と休息を取り、規則正しい生活を送ることは、自律神経のバランスを整える上で基本となります。また、自分なりのリラックス方法(例えば、深呼吸、瞑想、ヨガ、音楽を聴く、趣味の時間を持つなど)を見つけ、日常生活の中で意識的に取り入れることも有効です。食事は、消化の良いものを、よく噛んでゆっくりと食べるようにし、暴飲暴食は避けましょう。もし、セルフケアだけでは改善しない場合は、心療内科や消化器内科を受診し、専門医のアドバイスを受けることをお勧めします。
ストレスが原因?胃のムカムカと自律神経