ものもらい(麦粒腫・霰粒腫)と診断された場合、その治療法は、種類や症状の程度、進行具合などによって異なります。眼科医は、個々の状態に合わせて最適な治療法を選択します。まず、細菌感染による麦粒腫の場合、治療の基本は抗菌薬(抗生物質)の使用です。軽症であれば、抗菌成分の入った点眼薬や眼軟膏が処方されます。これらは、原因となっている細菌の増殖を抑え、炎症を鎮める効果があります。医師の指示通りに、適切な回数、適切な期間使用することが重要です。症状が強い場合や、炎症が広範囲に及んでいる場合には、抗菌薬の内服薬も併用されることがあります。また、痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤の内服薬が処方されることもあります。もし、麦粒腫が進行し、膿が溜まって腫れが著しい場合は、眼科医が細い針で穿刺したり、小さく切開したりして、膿を排出する「排膿処置」を行うことがあります。これにより、圧力が下がり、痛みが軽減され、治癒も早まります。一方、マイボーム腺の詰まりによる霰粒腫の場合、治療法は麦粒腫とは異なります。症状が軽く、しこりが小さい場合は、自然に吸収されたり、小さくなったりすることもあるため、しばらく経過観察をすることもあります。まぶたを温める「温罨法(おんあんぽう)」や、まぶたの縁をマッサージすることで、マイボーム腺の詰まりを改善し、脂の排出を促す方法も試みられます。しこりが大きい場合や、炎症を伴って赤く腫れている「急性霰粒腫」の状態、あるいは見た目が気になる場合には、ステロイド薬の点眼や眼軟膏、あるいはしこりの中に直接ステロイド薬を注射する治療(ケナコルト注射など)が行われることがあります。ステロイドには強力な抗炎症作用があり、腫れやしこりを小さくする効果が期待できます。これらの保存的治療で効果が見られない場合や、しこりが非常に大きい、あるいは何度も再発するといった場合には、手術でしこりを摘出する「霰粒腫摘出術」が検討されます。多くは局所麻酔による日帰り手術が可能で、まぶたの裏側から切開するため、皮膚表面に傷跡が残らないことが多いです。
ものもらいの治療法点眼・軟膏・内服薬・切開