子どもが喘息発作を起こすと、ゼーゼー、ヒューヒューという苦しそうな呼吸や、激しい咳き込みに、保護者の方は非常に心配になるものです。慌てずに冷静に対処し、適切なケアを行うことが、子どもの苦痛を和らげ、安全を確保するために重要です。まず、子どもが喘息発作の兆候(咳が増える、ゼーゼーし始める、息苦しそうにする、機嫌が悪くなるなど)を見せたら、すぐに医師から処方されている発作治療薬(短時間作用性β2刺激薬:SABAの吸入薬など)を、指示された回数吸入させましょう。吸入補助具(スペーサー)を使用すると、小さな子どもでも確実に薬剤を吸入しやすくなります。次に、子どもを楽な姿勢にさせます。座らせて、少し前かがみにさせると、呼吸が楽になることが多いです。衣服を緩め、呼吸しやすいようにしてあげましょう。そして、落ち着いてゆっくりと呼吸するように促します。保護者の方がパニックになってしまうと、子どもの不安感を煽り、発作を悪化させる可能性があるため、できるだけ穏やかに声をかけ、安心させることが大切です。「大丈夫だよ」「ゆっくり息をしようね」などと優しく語りかけましょう。水分補給も、痰を出しやすくしたり、脱水を防いだりするために有効です。温かい飲み物(白湯や薄いお茶など)を少量ずつ飲ませてあげましょう。ただし、発作がひどくて飲むのがつらい場合は無理強いしません。部屋の環境も整えましょう。窓を開けて換気をしたり、加湿器を使って湿度を適切に保ったりすることも、呼吸を楽にするのに役立つことがあります。これらの応急対処を行っても、症状が改善しない、あるいは悪化していく場合は、ためらわずに医療機関を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。特に、唇や爪の色が紫色になる(チアノーゼ)、意識が朦朧とする、ぐったりして反応が鈍い、呼吸が非常に速い、肩で息をする、鼻翼呼吸(小鼻がピクピクする呼吸)が著しい、会話が途切れ途切れになる、横になれないほど苦しそうといった場合は、緊急性が高いと考えられます。日頃から、発作時の対応について主治医とよく相談し、緊急時の連絡先や受診方法などを確認しておくことが、いざという時の備えになります。