男性更年期障害(LOH症候群)の治療は、男性ホルモン補充療法などの薬物療法が中心となることもありますが、それ以外にも、日常生活での工夫や、他の治療法を組み合わせることで、症状の緩和やQOL(生活の質)の向上が期待できます。薬物療法以外の主な対処法としては、まず「生活習慣の改善」が基本となります。バランスの取れた食事を心がけ、特にタンパク質や亜鉛、ビタミンDといった、テストステロンの産生や男性機能に関わる栄養素を意識して摂取しましょう。暴飲暴食や過度なアルコール摂取は避けましょう。次に、「適度な運動」も重要です。ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動は、血行を促進し、気分転換にもなります。また、筋力トレーニングは、テストステロンの分泌を促し、筋力低下を防ぐ効果が期待できます。ただし、過度な運動はかえってストレスになるため、無理のない範囲で続けることが大切です。「十分な睡眠と休息」も不可欠です。睡眠不足や慢性的な疲労は、テストステロンの分泌を低下させ、症状を悪化させる可能性があります。規則正しい睡眠習慣を身につけ、質の高い睡眠をとるように心がけましょう。「ストレスマネジメント」も重要なポイントです。精神的なストレスは、テストステロンの低下や自律神経の乱れを招き、男性更年期障害の症状を悪化させる可能性があります。趣味の時間を持つ、リラックスできる方法を見つける(例えば、音楽を聴く、瞑想をする、温かいお風呂に入るなど)、あるいは信頼できる人に相談するなどして、上手にストレスを発散しましょう。また、「漢方薬」も、個々の体質や症状に合わせて処方され、心身のバランスを整え、症状の緩和に役立つことがあります。例えば、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や八味地黄丸(はちみじおうがん)などが、倦怠感や性機能低下などに用いられることがあります。さらに、精神症状(気分の落ち込みや不安感など)が強い場合には、「カウンセリング」や「心理療法」が有効なこともあります。これらの対処法は、医師と相談しながら、自分に合ったものを見つけていくことが大切です。