りんご病(伝染性紅斑)は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスに感染することで発症します。主に子どもの間で流行しますが、大人も感染する可能性があります。では、なぜ大人がりんご病にかかるのでしょうか。その原因と感染経路について理解しておきましょう。大人がりんご病にかかる主な原因は、過去にヒトパルボウイルスB19に感染したことがなく、免疫を持っていない場合です。このウイルスは、一度感染すると基本的に終生免疫が得られると考えられていますが、子どもの頃に感染する機会がなかったり、あるいは感染しても症状が出ない不顕性感染であったりした場合、大人になってから初めて感染し、発症することがあります。特に、子育て中の方や、保育・教育関係者、医療従事者など、子どもと接する機会の多い大人は、感染のリスクが高いと言えるでしょう。りんご病の主な感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」です。飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散る小さな飛沫(しぶき)に含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。接触感染は、ウイルスが付着した手で目や鼻、口を触ったり、あるいはウイルスが付着したドアノブや手すり、おもちゃ、タオルなどを介して感染します。ウイルスは、症状が現れる一週間前から、発疹が出現する頃までが最も感染力が強いと言われています。発疹が出現してしまえば、感染力はほとんどなくなると考えられています。また、ヒトパルボウイルスB19は、血液を介して感染することもあり、輸血や血液製剤による感染、そして母子感染(胎盤を通じて胎児に感染する)も報告されています。特に、妊娠中(特に妊娠初期)の女性が初めてヒトパルボウイルスB19に感染すると、胎児に影響(胎児水腫や流産など)を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。これらの感染経路を理解し、流行期には手洗いやうがい、マスクの着用といった基本的な感染予防策を徹底することが、大人もりんご病から身を守るためには重要となります。