まぶたにできた「ものもらい」。いざ医療機関を受診しようと思った時、眼科と皮膚科、どちらが良いのか迷うことがあるかもしれません。それぞれの診療科の役割と、症状に応じた受診先の選び方について解説します。まず、眼科は、目(眼球)やまぶた、涙道といった眼の周囲の器官の病気を専門とする診療科です。ものもらい(麦粒腫・霰粒腫)は、まぶたの分泌腺や毛穴のトラブルであり、眼科の主要な診療対象の一つです。眼科では、専用の検査機器(細隙灯顕微鏡など)を用いて、まぶたの状態を詳細に観察し、麦粒腫なのか霰粒腫なのか、あるいは他のまぶたの病気(例えば、眼瞼縁炎やアレルギー性眼瞼炎、稀ですが眼瞼腫瘍など)ではないかを正確に診断します。治療としては、抗菌薬や抗炎症薬の点眼・眼軟膏の処方、内服薬の処方、そして必要に応じて麦粒腫の排膿処置や霰粒腫の摘出手術といった外科的な処置も行います。特に、目のゴロゴロ感や充血、視力への影響といった眼球自体の症状も伴う場合は、眼科の受診が不可欠です。次に、皮膚科ですが、皮膚およびその付属器(爪、毛髪、汗腺など)の疾患を専門とする診療科です。ものもらいも、まぶたという皮膚に起こる炎症や腫瘤であるため、皮膚科でも診断や治療(主に外用薬の処方など)を受けることは可能です。特に、まぶたの皮膚表面の赤みや腫れ、かゆみといった皮膚症状が主体である場合や、他の顔面の皮膚疾患(例えば、接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎など)との関連が疑われる場合には、皮膚科の受診も選択肢となります。ただし、ものもらいが眼球に影響を及ぼす可能性や、より専門的な眼科的処置が必要と判断された場合には、皮膚科から眼科へ紹介されることが一般的です。どちらの科を受診するか迷う場合は、まず、症状がまぶたの縁や内側に限局している、あるいは目の症状(充血、目やに、視力低下など)も伴う場合は眼科。まぶた全体の皮膚が赤い、かゆみが強いといった場合は皮膚科、という大まかな目安があります。しかし、最も確実なのは、まず眼科を受診し、専門的な診断と治療方針の決定を仰ぐことです。