りんご病(伝染性紅斑)というと、子どもの頬が赤くなる病気というイメージが強いですが、大人がかかると、子どもの頃とは異なるつらい症状に悩まされることがあります。その中でも特に特徴的で、日常生活に大きな影響を与えるのが「関節痛」や「関節炎」です。大人のりんご病では、発疹が出現する数日前から、あるいは発疹とほぼ同時期に、手首、手指の関節(特にPIP関節:第二関節)、膝、足首といった末梢の関節に、左右対称に痛みや腫れ、こわばりなどが現れることが多くあります。この関節症状は、女性に比較的多く見られる傾向があると言われています。痛みは、時には非常に強く、日常生活の動作(例えば、物を持つ、字を書く、階段を上り下りする、歩くなど)が困難になるほどになることもあります。朝起きた時に関節がこわばって動かしにくい「朝のこわばり」が見られることもあり、症状が関節リウマチと非常によく似ているため、鑑別診断が重要となります。関節リウマチの場合は、通常、関節の破壊が進行していく慢性的な病気ですが、りんご病による関節炎は、多くの場合、一過性で、数週間から数ヶ月程度で自然に軽快していきます。ただし、稀に数ヶ月から一年以上、関節症状が長引いてしまうケースも報告されています。なぜ大人のりんご病で関節症状が強く出るのか、その詳細なメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、ウイルス感染に対する免疫反応が関節に影響を与えているのではないかと考えられています。もし、発疹とともに、あるいは発疹の前後に、関節の痛みや腫れ、こわばりといった症状が現れた場合は、りんご病の可能性も考慮し、医療機関(内科やリウマチ科、皮膚科など)を受診しましょう。医師は、症状の経過や血液検査(ヒトパルボウイルスB19の抗体検査や、関節リウマチのマーカーなど)を行い、診断を確定し、症状を和らげるための治療(消炎鎮痛剤の処方など)を行ってくれます。
大人のりんご病関節痛が強く出ることも