子どもがRSウイルス感染症で入院した場合、保護者の方が気になるのは、入院期間がどれくらいになるのか、そしてどのような治療が行われ、どのように回復していくのかということでしょう。入院期間や治療内容は、子どもの年齢や重症度、合併症の有無などによって大きく異なりますが、一般的な目安を知っておくと、心の準備にも繋がります。RSウイルス感染症による入院の主な理由は、細気管支炎や肺炎といった下気道感染症による呼吸困難、あるいは哺乳不良や嘔吐・下痢による脱水症状、そして無呼吸発作などです。入院中の治療は、基本的に対症療法と支持療法が中心となります。RSウイルスに直接効く特効薬(抗ウイルス薬)は、現在のところ、重症化リスクの高い一部の患者さん(例えば、早産児や先天性心疾患、慢性肺疾患、免疫不全などを持つ場合)に用いられるパリビズマブ(シナジス®)という予防薬を除いて、一般的にはありません。呼吸困難に対しては、酸素投与が行われます。鼻カニューレや酸素マスクを用いて、適切な濃度の酸素を吸入し、体内の酸素飽和度を維持します。痰が多く、気道が狭くなっている場合は、気管支拡張薬の吸入や、去痰薬の投与、そして痰の吸引といった処置が行われることもあります。脱水症状がある場合や、経口摂取が困難な場合は、点滴による水分と電解質の補給が行われます。発熱に対しては、解熱鎮痛剤が用いられることもありますが、基本的にはクーリングなどで対応します。入院期間は、症状の重症度によって大きく異なります。比較的軽症で、酸素投与や点滴治療で速やかに改善すれば、数日から一週間程度で退院できることもあります。しかし、呼吸状態が悪く、人工呼吸器管理が必要になったり、合併症(例えば、細菌性肺炎など)を起こしたりした場合は、入院期間が数週間から一ヶ月以上に及ぶこともあります。特に、月齢の低い赤ちゃんや、基礎疾患のあるお子さんは、回復までに時間がかかる傾向があります。退院の目安は、呼吸状態が安定し、酸素投与が不要になり、経口での水分や食事が十分に摂れるようになり、全身状態が良好になることです。退院後も、しばらくは咳や痰が続いたり、体力が完全に回復するまでに時間がかかったりすることがあるため、無理をさせずに、医師の指示に従って経過観察を続けることが大切です。