「脱腸」と聞くと、男性に多いイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実は女性に特有のヘルニアも存在します。その一つが、大腿ヘルニアです。大腿ヘルニアは、鼠径ヘルニアと同様に足の付け根に生じるヘルニアですが、鼠径管を通る鼠径ヘルニアとは異なり、大腿管という別の経路を通って腸などが飛び出してきます。この大腿管は、血管や神経が通るスペースであり、女性の方が骨盤の構造上、この大腿管が広がりやすい傾向にあるため、女性に多く見られるとされています。症状としては、鼠径ヘルニアと同様に足の付け根に膨らみを感じることが多いですが、大腿ヘルニアの膨らみは比較的小さく、気づきにくいこともあります。また、嵌頓しやすいという特徴も持っており、突然の激しい痛みや吐き気、嘔吐などの症状が現れた場合は、緊急手術が必要となることも少なくありません。診断は、医師による視診や触診、場合によっては超音波検査などによって行われます。特に、初期の段階では症状が曖昧であることも多いため、わずかな違和感でも専門医を受診することが重要です。治療法は、鼠径ヘルニアと同様に手術が基本となります。女性の場合、妊娠や出産を経験すると腹圧がかかりやすくなるため、大腿ヘルニアのリスクが高まるとも言われています。もし、足の付け根に何か気になる膨らみや痛みを感じたら、決して自己判断せず、外科医に相談して適切な診断を受けるようにしましょう。早期発見・早期治療が、合併症を防ぐ上で非常に大切です。