大人がりんご病(伝染性紅斑)を疑うような症状(例えば、手足のレース状の発疹、関節痛、発熱など)が現れた場合、医療機関ではどのような流れで診断が行われ、どのような検査が必要になるのでしょうか。まず、医療機関(主に内科、皮膚科、リウマチ科など)を受診すると、医師による詳しい問診が行われます。いつから、どのような症状があるのか、発疹の性状や分布、関節痛の部位や程度、発熱の有無と体温の経過、他に症状(頭痛、倦怠感、喉の痛みなど)はないか、周囲にりんご病の患者さん(特に子ども)がいないか、妊娠の可能性(女性の場合)などを詳しく聞かれます。この問診は、診断の手がかりを得るために非常に重要です。次に、身体診察です。医師は、発疹の状態(頬の赤み、手足のレース状紅斑など)を視診で確認し、関節の腫れや圧痛(押したときの痛み)の有無などを触診で調べます。リンパ節の腫れや喉の赤みなども確認することがあります。多くの場合、この問診と特徴的な皮膚症状、そして関節症状などから、臨床的にりんご病と診断されます。しかし、診断を確定するためや、他の疾患(例えば、関節リウマチや他のウイルス性発疹症、薬疹など)との鑑別が必要な場合には、血液検査が行われることがあります。血液検査では、ヒトパルボウイルスB19に対する抗体の値を測定します。発症初期(急性期)にはIgM抗体が上昇し、その後やや遅れてIgG抗体が上昇してきます。IgM抗体が陽性であれば、最近の感染(初感染)である可能性が高いと判断されます。IgG抗体は、過去の感染を示すもので、一度陽性になると生涯持続することが多いです。ペア血清といって、急性期と回復期(数週間後)の二時点で採血し、IgG抗体価が著しく上昇していれば、確定診断となります。また、血液検査では、炎症反応(CRPなど)や、関節リウマチのマーカー(リウマチ因子や抗CCP抗体など)、他のウイルス抗体などを調べることもあります。これらの問診、診察、検査結果を総合的に判断し、医師はりんご病の診断を下し、適切な治療方針を決定します。
大人のりんご病診断と検査方法