男性更年期障害(LOH症候群)の疑いがあるけれど、泌尿器科と内分泌内科、どちらを受診すれば良いのか迷う方もいるでしょう。それぞれの診療科の役割と特徴を理解し、適切な受診先を選ぶことが大切です。まず、泌尿器科は、腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿路系と、精巣、前立腺、陰茎といった男性生殖器系の病気を専門とする診療科です。男性ホルモンであるテストステロンは、主に精巣で産生されるため、泌尿器科医は男性ホルモンの低下に関連する疾患の診断と治療に精通しています。男性更年期障害の診断においては、問診や血液検査(テストステロン値の測定など)、症状評価のための質問票(AMSスコアなど)を用い、治療としては、テストステロン補充療法(注射や塗り薬など)を積極的に行っている医療機関が多いです。また、勃起不全(ED)や排尿障害といった、男性更年期障害に伴いやすい泌尿器科的な症状についても、専門的な対応が可能です。次に、内分泌内科(または代謝内科)は、ホルモンや代謝に関わる病気全般を専門とする診療科です。甲状腺、下垂体、副腎、性腺(精巣や卵巣)など、様々な内分泌器官の異常を扱います。男性更年期障害の原因となるテストステロンの低下が、精巣自体の問題なのか、それとも脳の下垂体や視床下部といったホルモン分泌を指令する中枢部分の異常によるものなのかを、より詳細な内分泌学的検査(例えば、LHやFSHといった下垂体ホルモンの測定など)を通じて鑑別診断します。治療としては、泌尿器科と同様にテストステロン補充療法を行うこともありますが、原因によっては他の治療法が選択されることもあります。どちらの科を受診するか迷う場合は、まず、勃起不全や排尿障害といった泌尿器科的な症状が強い場合や、テストステロン補充療法を積極的に検討したい場合は泌尿器科。原因をより詳しく調べたい、あるいは他のホルモン異常の可能性も気になる場合は内分泌内科、という大まかな目安があります。また、医療機関によっては、両方の科が連携して診療にあたっていたり、「男性更年期外来」といった専門外来を設けていたりする場合もあります。かかりつけ医に相談して紹介してもらうのも良いでしょう。
泌尿器科?内分泌内科?男性更年期障害の受診先