鏡の前に立つと、気づけば一時間が経過していることがあります。最初はほんの少し、肌のざらつきが気になっただけでした。指先で触れた小さな凹凸を平らにしたい、その一心で爪を立て、皮膚を剥がしてしまうのです。痛みは感じているはずなのに、それ以上に「取り除かなければならない」という奇妙な義務感と、むしり取った瞬間のわずかな解放感が私を支配します。後になって赤く腫れ上がり、血が滲む自分の顔や指を見て、私はいつも深い絶望に沈みます。なぜこんなことをしてしまうのか、なぜ自分の体を大切にできないのかと、自分を責め続けてきました。私のこの皮膚むしり症という悩みは、人にはなかなか理解されません。単なる癖だと言われればそれまでですが、私にとっては自分の制御が効かない恐ろしい衝動なのです。夏でも長袖を着て、絆創膏を指に何枚も貼り、友人からの遊びの誘いを断ることもありました。誰かに見られるのが怖くて、隠すことに必死でした。しかし、ある時、これが病気の一種であると知ったことで、少しだけ救われた気持ちになりました。私がダメな人間だからではなく、脳が誤った信号を送っているのだと思えるようになったからです。今は、むしりたくなった時に手遊びのおもちゃを触ったり、鏡を見る時間を意識的に減らしたりする工夫をしています。完全にやめることはまだできていませんが、むしってしまった後に「またやってしまった」と自分を叩くのではなく、「今は辛かったんだね」と自分をなだめるようにしています。傷跡が少しずつ癒えていく様子を見ることは、私にとって自分を許していく過程でもあります。一進一退の毎日ですが、少しずつ自分の肌を愛せるようになりたいと願っています。