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妊娠中の胃のムカムカつわりとの関係と対処法
妊娠初期に多くの妊婦さんが経験する「つわり」。その代表的な症状の一つが、胃のムカムカや吐き気、嘔吐です。なぜ妊娠中、特に初期にこのような不快な症状が現れるのでしょうか。そして、どのようにつらさを和らげれば良いのでしょうか。妊娠中の胃のムカムカ、いわゆる「つわり」の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。最も大きな要因とされているのが、妊娠によって急激に増加する女性ホルモン(特にhCG:ヒト絨毛性ゴナドトロピンや、エストロゲン、プロゲステロンなど)の影響です。これらのホルモンが、脳の嘔吐中枢を刺激したり、胃腸の働きを不安定にしたりすることで、吐き気や嘔吐、胃のムカムカ感を引き起こすと考えられています。また、妊娠初期は、体が妊娠という大きな変化に適応しようとしている時期であり、自律神経のバランスも乱れやすくなります。これも、胃腸の不調や吐き気に関与している可能性があります。さらに、空腹になると血糖値が下がり、それが吐き気を誘発するという説や、特定の匂いに敏感になることで気分が悪くなるということもあります。つわりの症状の現れ方や程度には個人差が非常に大きく、ほとんど症状がない人もいれば、水分も摂れないほど重症化し、「妊娠悪阻(にんしんおそ)」と診断されて入院治療が必要になる人もいます。つらい時の対処法としては、まず、無理をせず、安静にすることが大切です。食事は、一度にたくさん食べるのではなく、少量ずつ、何回かに分けて、食べられるものを食べるようにしましょう。一般的に、冷たくてさっぱりとしたもの(例えば、そうめん、冷奴、果物、ゼリー、アイスクリームなど)や、炭水化物(クラッカー、パン、おにぎりなど)が比較的食べやすいと言われています。匂いに敏感になっている場合は、匂いの強いものは避けましょう。水分補給も重要です。水やお茶、経口補水液などを少量ずつこまめに摂取し、脱水症状を防ぎましょう。もし、嘔吐が頻繁で水分も全く摂れない、体重が急激に減少する、尿の量が極端に少ないといった場合は、我慢せずに産婦人科のかかりつけ医に相談してください。点滴による水分・栄養補給や、吐き気止めの処方が検討されることもあります。