2025年12月
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脱腸手術の種類とメリット・デメリット
脱腸、すなわちヘルニアの治療は、基本的に手術によって行われます。しかし、「手術」と一言で言っても、その術式にはいくつかの種類があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。患者さんの状態やヘルニアの種類、医師の判断によって、最適な術式が選択されます。最も一般的なのは「鼠径部切開法(前方アプローチ)」と呼ばれる手術で、鼠径部に数センチの切開を加えてヘルニア嚢を処理し、人工のメッシュを使って腹壁の弱い部分を補強します。この方法のメリットは、手術手技が確立されており、多くの病院で実施されている点です。デメリットとしては、皮膚に切開傷が残ることや、術後の痛みが比較的大きい場合があります。もう一つの主要な術式として、「腹腔鏡下ヘルニア修復術(後方アプローチ)」があります。これは、数カ所の小さな穴を開け、そこからカメラや手術器具を挿入して行う手術です。メッシュを腹腔内から腹壁に当てることで補強します。メリットは、傷が小さく目立たないこと、術後の痛みが少ないこと、両側にヘルニアがある場合でも一度に治療できることなどです。一方でデメリットとしては、全身麻酔が必要となること、手術時間が長くなる傾向があること、特定の合併症のリスクがあることなどが挙げられます。どちらの術式を選択するかは、患者さんの年齢、ヘルニアの大きさや種類、再発の有無、全身状態などを総合的に考慮して決定されます。手術前には、担当医からそれぞれの術式について詳しい説明を受け、疑問点があれば納得がいくまで質問することが重要です。自身にとって最善の選択ができるよう、情報をしっかりと理解した上で決断しましょう。