2025年8月
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そのむちうち整骨院だけで本当に大丈夫?
交通事故でむちうちになると、多くの方が治療先の選択に悩みます。特に、整形外科と整骨院の違いが分からず、とりあえず通いやすい近所の整骨院を選ぶというケースは少なくありません。しかし、その選択が後々の回復や補償に影響を及ぼす可能性があることを知っておくべきです。最も大きな違いは、整形外科には医師が在籍し、整骨院には柔道整復師が在籍しているという点です。医師はレントゲンやMRIといった画像検査を用いたり、薬を処方したり、診断書を作成したりといった「医療行為」を行うことができます。一方、柔道整復師は医療行為を行うことはできません。できるのは、打撲や捻挫などに対する施術に限られます。むちうちの場合、首の内部で何が起きているかを正確に把握することが治療の第一歩です。骨に異常はないか、神経が圧迫されていないかなどを確認するためには、整形外科での画像診断が不可欠です。整骨院ではこの診断ができないため、万が一重篤な損傷が隠れていた場合、それを見逃してしまうリスクがあります。また、交通事故の治療では、加害者側の保険会社とのやり取りが発生します。保険会社は、医師による診断と指示に基づいた治療であるかを重視します。医師の診断がないまま整骨院に通い続けた場合、治療の必要性が認められず、治療費の支払いが滞ったり、後遺障害の認定が受けられなかったりする可能性も出てきます。もちろん、整形外科で診断を受けた上で、医師の同意や連携のもとで整骨院の施術を併用することは有効な場合があります。しかし、最初から整骨院だけに通うのは避けるべきです。まずは整形外科を受診し、正しい診断を受けることが、安心して治療に専念するための鉄則です。