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RSウイルス再感染と重症化のリスク
RSウイルス感染症は、一度かかると生涯免疫ができるわけではなく、何度も再感染する可能性がある感染症です。特に乳幼児期には、短い期間に複数回感染することも珍しくありません。では、再感染した場合、症状は軽くなるのでしょうか、それとも重症化するリスクはあるのでしょうか。一般的に、RSウイルスに初めて感染する場合(初感染)が、最も症状が重くなりやすいと言われています。特に、生後6ヶ月未満の赤ちゃんや、早産児、基礎疾患(心臓病や肺の病気、免疫不全など)を持つ子どもは、初感染で細気管支炎や肺炎といった重篤な下気道感染症を起こし、入院治療が必要となるリスクが高いです。再感染の場合は、通常、初感染時にある程度の免疫(抗体)が獲得されているため、症状は比較的軽く済み、鼻水や咳、微熱といった上気道炎(普通の風邪のような症状)で経過することが多いと言われています。しかし、再感染であっても、必ずしも軽症で済むとは限りません。いくつかの要因によって、再感染でも症状が重くなったり、入院が必要になったりする可能性があります。例えば、再感染時のウイルスの量や、本人の免疫状態(例えば、免疫力が低下している時など)、あるいは感染したウイルスの型(RSウイルスにはA型とB型があり、さらに細かな亜型も存在します)などが影響すると考えられています。また、高齢者や、喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)といった基礎的な呼吸器疾患を持つ成人、あるいは心不全などの慢性疾患を持つ成人がRSウイルスに再感染した場合も、症状が悪化しやすく、肺炎などを合併して重症化するリスクがあるため注意が必要です。特に、高齢者施設などでの集団発生も問題となることがあります。このように、RSウイルスの再感染は、多くの場合、初感染よりも軽症で済む傾向がありますが、油断は禁物です。年齢や基礎疾患の有無、そしてその時の体調などによっては、再感染でも重症化する可能性があることを理解しておく必要があります。流行期には、年齢に関わらず、手洗いやうがい、マスクの着用といった基本的な感染予防策を徹底することが大切です。